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2019年08月22日 IROOP2番目の論文の日本語要旨
オンラインデータベースに登録された健康な日本人におけるMCI Screen(あたまの健康チェック)とアンケート回答にもとづく認知症危険因子の縦断的分析

本研究では予測を行う観点から縦断的変化を検定するため,ベースラインとなる初回アンケートと簡易認知機能評価(以下,MCI Screen,あたまの健康チェック)とベースライン以外で1回以上の定期アンケートとMCI Screenを完了している登録者473名)を対象とした.
今回の結果から「就寝時間」「昼寝時間」「起床時間」と睡眠時間に関する項目が3つ抽出されたことが特徴的である.老齢期と睡眠時間は近年の研究で議論されており, Wennberg(2017)らの報告では,神経変性疾患や認知症を有する人の60~70%が睡眠障害を有しており,さらに予後不良と結びついていると述べている.これらのことから一次予防として睡眠コントロール,睡眠習慣の確立が重要となってくる.
睡眠の質・量またはその両方の変化がamyloid沈着と関連しているとYo-El(2013)らの報告で言われているように,睡眠時間の短縮,睡眠効率の低下から病態としてamyloidβクリアランスが進まなくなり,amyloidβ沈着へと進んでいると考えられる.amyloidβは認知症発症の何十年も前から沈着を開始しており(Selkoe,2016),前述の睡眠コントロール,睡眠習慣の確立は老年期だけの問題ではなく中年期,ひいては青年期それ以前から必須の課題となるのではないか. 高齢期における認知機能の低下予防はその時期だけに主眼をおくのではなく,より早期の時期から生活習慣全体の確立を目指す意義を広く謳っていく必要性が見えてきた.
本研究と前回(Ogawa et al., 2018)の結果について検討してみると,本研究では「基本的に人世に満足しているか」という項目,前回の結果では「たいてい幸福と感じるか」という項目が抽出された.「気分」のカテゴリーの項目が併せて抽出されていることから,自分自身の人生に満足感を持っているかがポイントとなることが示唆された.
(文献については英文論文参照)